その「やりがい」、もしかしたら「搾取」かもしれませんよ?
2015.03.21 Saturday 19:30
現在地域おこし協力隊のイメージとしては、「国の政策としては珍しくうまくいっている政策」という感じではないでしょうか。岡山県美作市を筆頭に、協力隊が地域に入ることによって新たな空気が地域に吹き込まれて地域が活性化されていく、とメディアでは語られています。
しかし、うまくいっている自治体もあれば、うまくいっていない自治体もあります。当記事執筆時点では、島根県のM町とか長崎市のとある離島が、インターネットを通じてそのずさんな受け入れ体制が白日の下にさらされています。そんな自治体に配属となって隊員は、かなり悲惨な目に遭います。農作業の手伝いや独居老人の病院送迎などを来る日も来る日もさせられ、「こんなはずではなかった」という状況に立たされます。
こうした自治体の弁は、「生活支援もまた地域おこし活動の一つである」だそうです。続けて、「これらの総合的な活動をすることを了承した上で応募・内定受諾したのだから、文句を言える立場ではないだろう?」と。挙句の果ては、「志があるのなら、自分の手で何でもやるのがスジというものではないのか?」となります。
こうした一連の流れを傍から見ていると、ある言葉が頭に浮かびました。それは「やりがい搾取」です。
やりがい搾取とは、本来の報酬である給料や待遇とは別に、やりがいを報酬として与える行為のことです。やりがいを報酬とすることによって、給料や待遇は低い状態を保ったまま、今よりさらに従業員を働かせることができます。本田由紀著『軋む社会』(河出文庫)が提唱してから、徐々に一般化しつつあります。
地域おこし協力隊の場合は、やりがい搾取をしてしまえば給料や待遇、さらにはサポート体制を低く抑えた状態をキープしつつ、「志」をエサに1人で2人分の活動・成果を要求することが可能になります。具体的には、「生活支援をすることで地域住民との信頼関係を構築していく」と言うことによって、本来地域おこしとは関係のない業務も自然にさせることが可能となります。
そんな「ブラック自治体」を事前に知るにはどうすればいいのか。一応、見つける方法はあります。
まずは、定番の募集要項ですね。業務内容があまりに多岐にわたっている場合、これはまさにブラック自治体の可能性が高いです。これらは表向きは総務省のお題目を並べつつ、裏では生活支援と称した雑用事をやらされる公算が大です。
次に、応募してから面接にいくまでの流れ。筆者の経験では、真っ当な自治体は応募してから1週間後に面接の案内が届き、採用の合否については応募から約3週間後に下されます。しかし、ブラック自治体は、その流れがグダグダです。面接の案内が届くのに1ヶ月かかり、合否にいたっては2ヶ月後ということが、当たり前のように敢行されます。
最後に内定が出た後ですが、とにかく自治体からのアクションが少なすぎるという点です。応募してからは転居の手続きや必要書類の記入などやることが多いのですが、それらのやることに関する連絡が少ないのが特徴です。例えば、実際に住む住居はどんなのか(酷い場合はとても住める状況ではない)、公用車はいつから借りられるのか(無いとそもそも出勤できない)、商店などはどこにあるのか(知らないとそもそも生活できない)、あたりでしょうか。あまりにアクションが少ない場合は、質問リストをつくって担当者にぶつけてみてはいかがでしょうか。その対応が不自然な場合は、内定辞退も視野に入れましょう。
それにしても、地域おこし協力隊の面接を実際に受けて思ったことは、なぜ応募者からの質問の時間が無いのでしょうか。民間の企業ならば普通にあるのですが、協力隊の面接は不思議なことに面接官による質問のみといった状況でした。しかも、面接官の人数がとても多くて、1対5くらいの、明らかに「多勢に無勢」のシチュエーションでした。真っ当な自治体を含めた全ての自治体に言えることですが、何か応募者の意思を無視しているような気がしてなりません。
最後に、雇用関係が何であれ、自治体と隊員には主従関係があります。シニカルな考えで申し訳ないのですが、採用されたらこの本を読んでみることをオススメします。
JUGEMテーマ:地域おこし協力隊
しかし、うまくいっている自治体もあれば、うまくいっていない自治体もあります。当記事執筆時点では、島根県のM町とか長崎市のとある離島が、インターネットを通じてそのずさんな受け入れ体制が白日の下にさらされています。そんな自治体に配属となって隊員は、かなり悲惨な目に遭います。農作業の手伝いや独居老人の病院送迎などを来る日も来る日もさせられ、「こんなはずではなかった」という状況に立たされます。
こうした自治体の弁は、「生活支援もまた地域おこし活動の一つである」だそうです。続けて、「これらの総合的な活動をすることを了承した上で応募・内定受諾したのだから、文句を言える立場ではないだろう?」と。挙句の果ては、「志があるのなら、自分の手で何でもやるのがスジというものではないのか?」となります。
こうした一連の流れを傍から見ていると、ある言葉が頭に浮かびました。それは「やりがい搾取」です。
やりがい搾取とは、本来の報酬である給料や待遇とは別に、やりがいを報酬として与える行為のことです。やりがいを報酬とすることによって、給料や待遇は低い状態を保ったまま、今よりさらに従業員を働かせることができます。本田由紀著『軋む社会』(河出文庫)が提唱してから、徐々に一般化しつつあります。
地域おこし協力隊の場合は、やりがい搾取をしてしまえば給料や待遇、さらにはサポート体制を低く抑えた状態をキープしつつ、「志」をエサに1人で2人分の活動・成果を要求することが可能になります。具体的には、「生活支援をすることで地域住民との信頼関係を構築していく」と言うことによって、本来地域おこしとは関係のない業務も自然にさせることが可能となります。
そんな「ブラック自治体」を事前に知るにはどうすればいいのか。一応、見つける方法はあります。
まずは、定番の募集要項ですね。業務内容があまりに多岐にわたっている場合、これはまさにブラック自治体の可能性が高いです。これらは表向きは総務省のお題目を並べつつ、裏では生活支援と称した雑用事をやらされる公算が大です。
次に、応募してから面接にいくまでの流れ。筆者の経験では、真っ当な自治体は応募してから1週間後に面接の案内が届き、採用の合否については応募から約3週間後に下されます。しかし、ブラック自治体は、その流れがグダグダです。面接の案内が届くのに1ヶ月かかり、合否にいたっては2ヶ月後ということが、当たり前のように敢行されます。
最後に内定が出た後ですが、とにかく自治体からのアクションが少なすぎるという点です。応募してからは転居の手続きや必要書類の記入などやることが多いのですが、それらのやることに関する連絡が少ないのが特徴です。例えば、実際に住む住居はどんなのか(酷い場合はとても住める状況ではない)、公用車はいつから借りられるのか(無いとそもそも出勤できない)、商店などはどこにあるのか(知らないとそもそも生活できない)、あたりでしょうか。あまりにアクションが少ない場合は、質問リストをつくって担当者にぶつけてみてはいかがでしょうか。その対応が不自然な場合は、内定辞退も視野に入れましょう。
それにしても、地域おこし協力隊の面接を実際に受けて思ったことは、なぜ応募者からの質問の時間が無いのでしょうか。民間の企業ならば普通にあるのですが、協力隊の面接は不思議なことに面接官による質問のみといった状況でした。しかも、面接官の人数がとても多くて、1対5くらいの、明らかに「多勢に無勢」のシチュエーションでした。真っ当な自治体を含めた全ての自治体に言えることですが、何か応募者の意思を無視しているような気がしてなりません。
最後に、雇用関係が何であれ、自治体と隊員には主従関係があります。シニカルな考えで申し訳ないのですが、採用されたらこの本を読んでみることをオススメします。
JUGEMテーマ:地域おこし協力隊
関西の某県の協力隊の者です。
協力隊卒業後は進路が決まっています。それまでの地域おこしのヒントを探して、ネットを徘徊してます。
私の地域はまちづくり協議会がしっかりしていて、何千人規模のイベントを毎年やるくらいで、ぶっちゃけ協力隊が必要ない地域な気がします。協力隊の予算が目当てに感じます。
アイデアを出せと盛んに言われるのですが、提案したものは全く採用されません。自分にセンスがないからだと思い、協力隊を卒業した先輩や自分の家族、地元の友人にもアイデアを出してもらったのですが、一つも採用されず、途方に暮れています。
おまけに、着任してから周りの地域の協力隊に聞くと自分がいる地域の協力隊だけはやりたくないと皆が言うところでした。
ですから、協力隊に応募するときは、その地区の先輩だけでなくその周りの地域の協力隊員、出来れば数人にも評判を聞くべきだと思います。
私は周囲の地域の協力隊員一人にしか聞きませんでした。その方からは、あなたなら出来ると言われました…
新たに協力隊に志願する方が、私のように途方に暮れないことを望みます。